iCloud+で追加される「PrivateRelay」、中国などでは実装見送り
2021/06/10
~Appleが開発した新プライバシー機能「Private Relay」、中国などでは実装見送り~
先日IOS15で新しく追加されるという情報が明らかになったこのPrivateRelay機能ですが、なんと一部地域では実装がされないとの情報が追加されました。
そのことが今世界的に話題になっているので、今回はその仕組みと実装見送りの理由について綴っていきたいと思います。
まずはこのPrivateRelayの仕組みについて簡単にお話しします。
従来の通信とこのPrivateRelayの一番大きな違いは、従来単一のルートで行っていた通信を完全に別の2ルートに分割して送信する、という事です。
こう聞くとそんなに大きな効果を上げられるのかという疑問も沸きますが、実際これは個人情報の保護にはとてつもなく有効です。
例を出して説明すると、
従来「あいうえおかきくけこ」という単語を送信する場合、これを逆さ読みに暗号化した「こけくきかおえういあ」という文字列を1文字ずつ送るような形でした。
これでも、情報を読み取るには暗号化の規則を把握した上で通信から文字を抜き取る技術が必要でした。
それが今回「あいうえおかきくけこ」という単語を送信する場合は暗号化した「こけくきかおえういあ」という文字列を、まず1文字置きに「こくかえい」と「けきおうあ」というように2分割します。
それを別々の2者が暗号化して送信し、決められた送り先で復元されて元の文字列に戻る、といった感じです。
ここで大切なのはこの別々の2者で通信が違うため、同一の情報のデータを取得することがほぼ不可能だという事です。
例えるなら川の上流で垂らした色水を2つに分かれた支流でスポイトで取るようなものなんです。
運よく抜き取ることができても数を集めないと意味がないのが情報というもの。
これでこのシステムの鉄壁さがお判りいただけたでしょうか。
さて次の段ではこれがなぜ中国などで実装が見送られることとなったのかについて説明します。
それではこのシステムがなぜ中国で実装見送りになったかについて説明します。
まず前提として、中国は社会主義的な国家です。
つまり市民は統制されなければいけません。
基本的に監視しなければならない以上、絶対に内容が分からないような通信手段は認められませんよね。
そしてApple側も収益の15%を担う中国での市場を失うわけにはいきません。
そうなると中国だけを例外とするわけにもいかず他の国でも見送りとなったわけです。
具体的にはベラルーシ、コロンビア、カザフスタン、サウジアラビア、南アフリカ、トルクメニスタン、ウガンダ、フィリピンが挙げられます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
こういった国際情勢や政治問題が絡んだことはなかなかセンシティブなので難しいところではありますよね。
これが導入されれば個人情報の保護がさらに進むことは間違いないですが、結局は自分で気を付けることが一番の防御策になったりもするので、私たちも気を付けて過ごしていきましょう。
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